阿部家の反省
 「亀や」の工事が終わり、業績も順調に推移する中で、「湯どの庵」のお客様が「亀や」に吸い込まれるという現象が起こりました。 そこで「湯どの庵」をどう再生させるかという課題が生まれました。そこで最初に行ったのが、「阿部家の反省」です。 「湯どの庵」を経営している私たち阿部家の人間が、自分たちが本当に泊まりたい宿を創っているのかという反省です。 答えは「否」でした。様々な具体的反省をしました。何が悪いのか・誰が悪いのかを反省するのではなく、自分の何が悪いかを反省するのです。 大変つらいプロセスでしたが、その結果導き出された結論は、自分たちの素敵なライフスタイルを提案する宿、そしてその宿を表現する上で 「トートルプロデュース」という概念を導入し、必要分野の専門家を集めたクリエイティブ集団を創り、阿部家はその集団が精一杯の力を発揮できる環境整備を進めるということでした。


全国の和モダンの先駆け、湯どの庵の成功
 阿部家の反省をふまえて、プロデューサーとしてお願いしたのが旧知の家具デザイナーの岩倉榮利氏でした。 氏と色々話し合った結果ライフスタイルを提案する宿=生活の延長としての宿、つまりは家を創ろうということになりました。 ロビーがあり、レストランがあり、大浴場・客室のある宿ではなく、リビングがあり、ダイニングがあり、バスルーム・ゲストルームのある家を。 そしてそこに一つだけ生活から切り離されたもの、ここ「湯どの庵」にしかない「コミュニティー」を創る。 そんなコンセプトでプロジェクトが始まり、建築家の根岸氏、フラワーコーディネーターの茶人、グラフィックデザイナーの水野氏らのクリエーターがこの趣旨に賛同し、 チーム湯どの庵に参加してくれましたこのチームとの仕事は今まで経験したことの無いことだらけで、 大変興味深く、また大変勉強になる貴重な経験でした。そうして生まれた新生「湯どの庵」は宿の新しい形の一つを示せたのではないでしょうか。


東京赤坂への高級料理店での出店
 今年の7月に東京赤坂に日本料理店”阿部”を開店致しました。コンセプトは「正しい日本の食事」の提案を私どもなりにやっていこうということです。 現代社会人の生活は多様化を極め、生活のリズムも崩れやすくなっており、食事に関してもファーストフードやコンビニ弁当などで簡易に住ませてしまっているケースが非常に大いですよね。 でもそれは10年後20年後の自分に、しいては子供や孫にまで悪い影響を及ばしかねない結果になってしまう訳ですよね。 そこで私たちは「食」から生活を見直し、正しい食事が出来ることを目的とした店を創ろうということで出店致しました。

 それと一番重要に考えているのが人材交流ですね。亀やに就職した人が赤坂で仕事をしながら、視野を広げる。また逆に赤坂で仕事している人が亀やで働いて 新しい田舎の見方を発見する。そういった人材の交流が大事だと思うんですよね。今までのように山形からだけ東京を見るのではなく、 またそこから私どもの新しい展開が見えてくるような気がするんですよね。もちろん東京に出店するのが最終目標じゃなく、その先を見据えての展開です。


今後の亀やの展開は
 うちの会社の基本になっているのがYDNAという考え方です。基本コンセンプトは温故知新。
阿部専務 話がだいぶ長くなり省略しますが、 山形のYと湯どの庵のYのYに私たちの体を形成するDNAを掛け合わせた私どもの会社を運営する上での一つの考え方を表した物です。 そのYDNAの考えにそった新たな提案を行っていこうと思っています。
 具体的には今までの旅館というのは全て予約で決まってきるんですね。ですから湯どの庵のように毎日満席でもあまりコストをかけないで対応できている訳です。 今回作った赤坂のお店はそれと全く逆の対極にあり、その日その日が勝負の店で、そういった意味ではお店の持つ臨機応援な対応と旅館が持つ機能的な部分を新たに構築した新しい亀やの 過ごし方、楽しみ方みたいなことを提案していきたいですね。
 例えば予約じゃなくっても、お昼にお寿司を食べたから夜のお造り入らないとか、せっかく山形に来たのだから米沢牛のステーキが手べたいとか色んなお客様の要望があると思いますが、 例えばそんな事にも今後は応えられることになるじゃないでしょうか。具体的には12月から亀やでB&Bスタイルの宿泊形式を取り入れました。 B&Bスタイルというのは1泊朝食付きが基本の料金になっていまして、夕食なしでも宿泊できるスタイルです。 夕食が必要な人には従来の旅館のような豪華な料理だけでなく、簡単なちょっとした定食、例えば刺身定食や天麩羅定食などが 食べられるという、従来の日本旅館では考えられなかった新しいシステムです。もちろん私ども亀や従来型の商品も充実していますのでお客様の私どもに対する選択肢が益々増えたという事でしょうか。


最後に
 今まで様々な人に出会えた事に感謝しながら、近々地元の皆様に喜んできた抱けるような新しい投資も考えています。 どうぞこれからも私ども亀や、湯どの庵をお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。

2006年11月、湯野浜温泉 亀やにて



■協力

湯野浜温泉 亀や
山形県鶴岡市湯野浜1-5-50
http://www.kameya-net.com



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