医療法人社団 日吉歯科診療所　 理事長　 熊谷　崇さん

Ｑ、酒田市の子供たちは、 日本で一番虫歯が 少ないそうですが。 　私が酒田で開業した当時（1980年）山形県の三歳児の虫歯発症率は全国ワースト3の常連でした。私の診療所に来院する子供たちも、口腔内全体に重症の虫歯になってしまった子供も多くて、これは治療だけしても何の問題解決にもならないと思うようになりました。そこで校医をしている小学校で、教師、保護者、児童を巻き込んだ啓蒙活動を行いました。まず虫歯という病気の本質やその予防策について、それぞれの立場の人によく知ってほしかったからです。虫歯は生活習慣病という側面もありますから子供たちの生活を支える人たちによく理解してもらうことが本当に大切なのです。 養護の先生を筆頭に、学校が一丸となって予防に取り組んでくれたおかげで、何年か経過すると永久歯の虫歯発症率が目に見えて減少してきました。現在はそうした働きかけが地域全体に及んで、酒田市の小学６年生のカリエスフリー率は55%、DMFT（齲蝕歯数）は0.81本（2005年現在）と全国トップレベルです。口腔内を清潔にきれいにすること、フッ化物を適切に使用すること、定期的なメインテナンスを続けることが特に重要です

		Ｑ、どんな事が一番大変でしたか？ 　何もかもが大変でしたね。まず、患者さんに虫歯や歯周病はちゃんと治せるし予防も可能な病気だということを理解してもらうことが大変でした。歯医者は具合が悪くなってから行くところという思い込みの強い人が多く、具合の悪いところをさっさと治してさえくれたらいいという感じでしたから。口の中をきれいにしないと治療には移れないといくら説明しても理解が得られず、怒って帰っていく人もいましたよ。でも、健康を守る立場の医療者としては、最低限、患者さん自身が自分の口の中をきれいにするということは譲れないところで、私はこの姿勢を貫き通しました。

DATA 医療法人社団 日吉歯科診療所 〒998-0037 山形県酒田市日吉町二丁目1-16　�ｴ0234-22-1837　http://www.hiyoshi-dental-office.org

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