上品で美しい色彩に飾る人の心をほっと和ませる
創業天保3年(1832年)という酒田の老舗菓子司「小松屋」。店伝来の木型で作られるお雛菓子は、今や全国各地から注文が来るほどにその存在が知られている。その上品で繊細な美しさは、まさにお菓子でできた芸術品といっても過言ではない。
毎年11月になるとお雛菓子づくりの最初の工程である型おこしが始まる。粒子の細かい片栗粉に粉砂糖・新粉(米の粉)・山芋の粉を混ぜ水を加え練っていく。1個分ずつ目方を量ったら生地を型に詰め込み型おこしをして乾燥させ、彩色は食用の色素を使い日本画用の彩色筆や刷毛などを使って色を重ねていく。
小さな花びらなどは生地を伸ばしたりぼかしたりする和菓子の技術を応用するそうだ。代々当主が受け継いできた伝統をこれからも心をこめて伝えていきたいと9代目店主の小松尚さんは語る。
お雛菓子の他にも春の慶びを告げる可憐な花々のような和菓子も充実しており、味はもちろんのこと目でも楽しむ事ができる。雛段の彩りにそえればよりいっそう華やかになるだろう。 |